6千人以上が犠牲となった阪神大震災から17日で23年を迎える。自治体が民間の物件を復興住宅として借り上げる仕組みは当時としては画期的で自宅を失った被災者が救われた。だが生活再建のメドが立たない被災者もいる中、入居期限の20年を超え、退去を迫られている。
「この家で静かに暮らしたいだけなのに」。1995年の阪神大震災後に神戸市があっせんした同市東灘区の復興住宅に住む男性(67)はため息をつく。
復興住宅からの退去を求めて神戸市に提訴された男性
市が都市再生機構(UR)から借り上げた復興住宅だが、入居期限20年を過ぎたとして2017年10月、退去を求める市から提訴された。家業の倒産もあり家計は苦しい。現状は自宅再建はおろか転居も難しい。
16年以降、神戸市と兵庫県西宮市は退去を求め計16世帯を提訴。17年10月には、神戸地裁が神戸市兵庫区の女性(79)に部屋の明け渡しを命じる初の判決を下した。18年度は退去期限を迎える戸数がピークとなる。
阪神大震災では約18万6千世帯が住まいを失い、災害復興公営住宅の供給が不足した。迅速な住宅供給のため、被災自治体は民間から賃貸物件を借り上げる方式で住宅を供給。民間物件を借り上げるため、契約は無期限にできない。当時の民法でも最長20年の期限が設けられていた。
「親族の近くで暮らしたい」「病院に通いやすい場所がいい」。神戸市内にはこれから退去期限を迎える世帯が約1100あり、市住宅整備課では事前に住民説明会を開いたり手紙を送ったりして対応を進める。
被災者の望みは様々。上山裕之担当課長は「入居時に20年契約の周知を徹底できなかった反省はあるが、信頼関係をつくり、納得してもらえるまで丁寧に対応するよう心掛けている」と話す。
1月12日(金)付 日経
*改めて阪神大震災の恐ろしさを覚えます。
木造住宅の耐震化で『倒れないまち』を早期に実現を現況の減災対策の危機感を感じます。
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